SAA Transit Gateway & Direct Connect 設計パターン4選|ハイブリッド接続・VPC間接続の選択基準を完全整理

AWS SAA-C03 頻出のハイブリッド接続・VPC間接続を完全解説。Transit Gateway ハブ&スポーク・Direct Connect 専用回線・Direct Connect Gateway + TGW グローバル接続・VPN vs Direct Connect フェイルオーバーの4パターンを、選択判断フレームワーク・試験頻出シナリオとともに整理。

「接続手段の違いを問う問題は SAA で最も差がつく分野」 — Transit Gateway・Direct Connect・VPN・VPC Peering は、スループット・コスト・暗号化・推移的ルーティングの4軸で使い分ける。本記事では4つの設計パターンを通じて、試験でとっさに判断できる選択フレームワークを習得する。

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📑 目次

  1. 結論:接続手段の選択フレームワーク
  2. パターン1:Transit Gateway ハブ&スポーク(多数 VPC の集約接続)
  3. パターン2:Direct Connect 専用回線(高帯域・低レイテンシのオンプレ接続)
  4. パターン3:Direct Connect Gateway + TGW(グローバル・マルチリージョン接続)
  5. パターン4:VPN vs Direct Connect + フェイルオーバー冗長設計
  6. VPC Peering vs Transit Gateway 選択早見表
  7. 試験頻出シナリオ → 解法パターン早見表
  8. 次のアクション チェックリスト
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  10. 関連サイト

1. 結論:接続手段の選択フレームワーク

AWS のネットワーク接続は「どこ(オンプレ・VPC 間)をどの品質(帯域・遅延・暗号化)でつなぐか」で決まる。

接続手段接続対象帯域暗号化推移的ルーティングコスト感
VPC PeeringVPC ↔ VPC制限なしなし(AWS 内)❌ 非対応低(データ転送料のみ)
Transit Gateway (TGW)VPC ↔ VPC・VPN・DX最大 50 Gbps(ECMP)なし(VPC 間)/ VPN は IPsec✅ 対応中(アタッチメント料 + データ転送料)
Site-to-Site VPNオンプレ ↔ AWS最大 1.25 Gbps/トンネル✅ IPsec△ TGW 経由なら対応低(時間課金)
Direct Connect (DX)オンプレ ↔ AWS1/10/100 Gbps❌ デフォルト非暗号化△ DX Gateway 経由高(ポート料 + 転送料)
DX + MACsecオンプレ ↔ AWS最大 100 Gbps✅ MACsec (L2)△ DX Gateway 経由最高

2. パターン1:Transit Gateway ハブ&スポーク(多数 VPC の集約接続)

適用シナリオ

  • 10 以上の VPC を相互接続したい
  • VPC Peering のメッシュ管理が限界(n*(n-1)/2 の接続数爆発)
  • オンプレ・VPN・Direct Connect を一元的に集約管理したい

アーキテクチャ

オンプレ(VPN/DX)

  ┌─────────────────────────────────┐
  │   Transit Gateway(TGW)        │
  │   ルートテーブル: 集約管理       │
  └─────┬──────┬──────┬─────────────┘
        │      │      │
    [VPC-A] [VPC-B] [VPC-C] … (Spoke VPCs)
    (本番)   (開発)  (共有サービス)

TGW の主要コンポーネント

コンポーネント役割
アタッチメントVPC・VPN・DX Gateway・TGW Peering を接続する単位
ルートテーブルどのアタッチメントにどのトラフィックを転送するかを定義
アソシエーションアタッチメントとルートテーブルを紐付ける
プロパゲーションアタッチメントのルートをルートテーブルに自動的に伝播する

VPC Peering との決定的な違い

項目VPC PeeringTransit Gateway
推移的ルーティング❌ A→B, B→C でも A→C は不可✅ A→TGW→C で可能
VPC 数が増えたとき接続数 O(n²) で爆発アタッチメント追加のみ
オンプレ接続各 VPC に個別設定が必要TGW に一本集約
IP 帯域の重複重複 CIDR は接続不可ルートテーブル制御で一部対応可
帯域制限なしVPC アタッチメントあたり最大 50 Gbps

ルートテーブルによるトラフィック分離

TGW の真価は「どの Spoke がどの Spoke と通信できるか」をルートテーブルで細かく制御できる点にある。

【本番 VPC 分離パターン】
本番 VPC  → 共有サービス VPC へのみ通信可
開発 VPC  → 開発 VPC 間 + 共有サービス VPC
共有サービス VPC → 本番・開発 VPC 双方向

TGW ルートテーブル例(本番用):
  アソシエーション: 本番 VPC アタッチメント
  プロパゲーション: 共有サービス VPC アタッチメントのみ

3. パターン2:Direct Connect 専用回線(高帯域・低レイテンシのオンプレ接続)

適用シナリオ

  • 大容量データの定常転送(1 Gbps 以上)
  • 一貫した低レイテンシが必要(金融システム・SAP・HPC 等)
  • インターネットを経由したくない(セキュリティ・コンプライアンス要件)

Direct Connect の接続方式

VIF 種別接続先用途
Private VIFVPC(VGW 経由)VPC 内リソースとのプライベート通信
Public VIFAWS パブリックサービス(S3・DynamoDB 等)パブリック AWS サービスへの直接接続
Transit VIFTransit GatewayTGW 経由で複数 VPC・VPN を集約(後述)

Direct Connect の帯域オプション

専用接続(Dedicated Connection):
  1 Gbps / 10 Gbps / 100 Gbps
  → AWS Direct Connect ロケーションで直接クロスコネクト
  → MACsec(L2 暗号化)対応

ホスト接続(Hosted Connection):
  50 Mbps / 100 Mbps / 200 Mbps / 300 Mbps / 400 Mbps / 500 Mbps / 1 Gbps / 2 Gbps / 5 Gbps / 10 Gbps
  → AWS Direct Connect パートナー経由でプロビジョン
  → 柔軟な帯域選択が可能(小規模利用向け)

Direct Connect の重要な特性


4. パターン3:Direct Connect Gateway + TGW(グローバル・マルチリージョン接続)

適用シナリオ

  • オンプレから複数リージョンの VPC に接続したい
  • 単一の DX 接続で多数の VPC を管理したい
  • マルチアカウント + マルチリージョン構成

アーキテクチャ

オンプレデータセンター
        ↓ (Direct Connect 物理回線)
[DX ロケーション]
        ↓ (Transit VIF)
[Direct Connect Gateway] ← グローバルリソース(リージョン横断)

  ┌─────────────────────┐
  │ Transit Gateway     │  ← us-east-1
  │ (東米リージョン)    │
  └─────┬──────┬────────┘
        │      │
    [VPC-1]  [VPC-2]

  ┌─────────────────────┐
  │ Transit Gateway     │  ← ap-northeast-1
  │ (東京リージョン)    │
  └─────┬──────┬────────┘
        │      │
    [VPC-3]  [VPC-4]

DX Gateway の役割

項目詳細
スコープグローバルリソース(リージョンに属さない)
接続可能 TGW 数最大 3 つのリージョンの TGW と関連付け可能
VIF 種別Transit VIF を使用(Private VIF は TGW と非互換)
BGP ASNDX Gateway 側の ASN と TGW 側の ASN は異なる必要あり
制約DX Gateway に関連付けた TGW 同士は直接通信不可(オンプレ経由になる)

TGW Peering によるリージョン間接続

リージョン間 VPC 通信が必要な場合:

[TGW-Tokyo] ─── TGW Peering ─── [TGW-US-East]
     ↓                                  ↓
[VPC 東京群]                       [VPC US 群]

TGW Peering の特徴:
- 推移的ルーティング対応(TGW が中継)
- 帯域制限なし(リージョン間データ転送料は発生)
- 静的ルート設定が必要(BGP 未サポート)

5. パターン4:VPN vs Direct Connect + フェイルオーバー冗長設計

比較:Site-to-Site VPN vs Direct Connect

VPN vs Direct Connect 選択基準
評価項目
Site-to-Site VPN
Direct Connect
帯域 最大 1.25 Gbps/トンネル 最大 100 Gbps(専用接続)
レイテンシ 変動あり(インターネット経由) 安定・低レイテンシ
暗号化 ✅ IPsec 標準搭載 ❌ デフォルト非暗号化(MACsec/オーバーレイ VPN が必要)
開通速度 数分〜数時間 数週間〜数ヶ月
コスト 低(時間課金 + データ転送料) 高(ポート料 + データ転送料)
可用性 2 トンネル(デュアルトンネル設計) DX ロケーション単一障害あり(冗長化必要)
用途 中小規模・暗号化必須・迅速導入 大容量・低レイテンシ・コンプライアンス
開通速度と暗号化の特性が VPN と Direct Connect の最大の差異。要件に応じて使い分けるか組み合わせる。

フェイルオーバー冗長設計パターン

パターン A:DX + VPN フェイルオーバー(最も一般的)

【通常時】
オンプレ ──DX(プライマリ)──→ TGW → VPC

【DX 障害時】
オンプレ ──VPN(バックアップ)──→ TGW → VPC

実装:
- DX: BGP で高い優先度(AS-PATH 短い / Local Preference 高)
- VPN: BGP でフォールバック(AS-PATH 長い / Local Preference 低)
- TGW への Site-to-Site VPN 終端で ECMP(複数トンネルで帯域合算)

パターン B:DX 冗長接続(高可用性要件)

【最大冗長性(Maximum Resiliency)推奨構成】
オンプレ
  ├── DX Location-A ──→ [専用接続 1]
  │                    [専用接続 2]
  └── DX Location-B ──→ [専用接続 3]
                        [専用接続 4]
→ AWS Transit Gateway

2 DX ロケーション × 2 接続 = 4 本の専用接続でロケーション障害にも対応
AWS 推奨冗長レベル構成SLA
Maximum Resiliency2 DX ロケーション × 2 接続99.99% 相当
High Resiliency2 DX ロケーション × 1 接続99.9% 相当
Development and Test1 接続(冗長なし)ベストエフォート

ECMP による VPN 帯域拡張(TGW 活用)

Site-to-Site VPN の制限(1.25 Gbps/トンネル)を突破する方法:

オンプレ ──[VPN Tunnel 1]──┐
          ──[VPN Tunnel 2]──┤→ TGW(ECMP 有効)→ VPC
          ──[VPN Tunnel 3]──┤
          ──[VPN Tunnel 4]──┘

TGW + ECMP で最大 50 Gbps まで帯域合算可能
(VGW 終端では ECMP 未対応 → TGW 必須)

6. VPC Peering vs Transit Gateway 選択早見表

要件VPC PeeringTransit Gateway
VPC 数が 5 以下で相互接続✅ 推奨(シンプル・低コスト)△ オーバースペック
VPC 数が 10 以上❌ 管理爆発(接続数 n*(n-1)/2)✅ 推奨
推移的ルーティング(A→B→C)❌ 不可✅ 対応
オンプレ(VPN/DX)も一元集約❌ 個別接続が必要✅ TGW に集約
異なるアカウントの VPC 接続✅ 可(Resource Access Manager)✅ 可(共有 TGW)
異なるリージョンの VPC 接続✅ Inter-Region Peering✅ TGW Peering
トラフィック分離(本番/開発)△ NACL/SG で制御✅ ルートテーブル分離
コスト優先✅ 安い△ アタッチメント料あり

7. 試験頻出シナリオ → 解法パターン早見表

シナリオ正解パターン誤答(よくある罠)
オンプレから複数 VPC に接続、管理を集約したいDX + Transit VIF + DX Gateway + TGWPrivate VIF を VPC ごとに設定(スケールしない)
暗号化しながらオンプレと接続したいSite-to-Site VPN、または DX + IPsec VPN オーバーレイDX のみ(デフォルト非暗号化)
DX 障害時に自動フェイルオーバーしたいDX(プライマリ)+ VPN(バックアップ)BGP 動的ルーティング静的ルートで設定(自動フェイルオーバー不可)
VPC 数が増えて Peering 管理が困難Transit Gateway に移行VPC Peering を増やし続ける
リージョン間 VPC 通信TGW Peering(リージョン間)DX Gateway のみ(リージョン間 VPC 間通信は不可)
大容量データを定常転送(10 Gbps+)したいDirect Connect 専用接続(10/100 Gbps)Site-to-Site VPN(最大 1.25 Gbps)
すぐに(数時間で)オンプレ接続を確立したいSite-to-Site VPNDirect Connect(開通まで数週間)
DX に暗号化を追加したい(L2 レベル)MACsec(専用接続のみ)IPsec(L3 オーバーレイ)
複数 VPN トンネルで帯域を合算したい(ECMP)TGW + 複数 VPN(最大 50 Gbps)VGW 終端 VPN(ECMP 非対応)
オンプレから S3/DynamoDB にプライベート接続DX + Public VIF(または S3 VPC Endpoint)DX + Private VIF(Public VIF と別)

8. 次のアクション チェックリスト

  • Transit Gateway の「ハブ&スポーク」モデルとルートテーブルの仕組みを手順で言える
  • Direct Connect の VIF 種別(Private / Public / Transit)と用途を即答できる
  • DX Gateway が「グローバルリソース」でリージョン横断できることを確認
  • VPN vs DX の4軸(帯域・レイテンシ・暗号化・開通速度)で比較できる
  • TGW + ECMP で VPN 帯域を拡張できること(VGW 終端では不可)を覚える
  • 「DX は非暗号化がデフォルト」「VPN は即時開通」を反射的に思い出せる

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10. 関連サイト

出典・参考情報